市役所に書類を送るとき「御中」？「様」？迷わない宛名マナー完全ガイド

市役所に書類を送るとき、封筒の宛名を「御中」と書くのか「様」と書くのか、迷ってしまう人は多いですよね。

実は、この使い分けには明確なルールがあります。

本記事では、「御中」と「様」の正しい違いと、市役所宛て封筒の書き方マナーを初心者にも分かりやすく整理しました。

「課」や「係」への送り方、担当者がいる場合の書き方、返信用封筒に「行」や「宛」が印刷されているときの対処法まで、実例つきで丁寧に解説しています。

この記事を読めば、どんな相手にも恥ずかしくない宛名が書けるようになります。

市役所への宛名は「御中」でいい？基本の考え方

市役所に書類を郵送するとき、「御中」と「様」のどちらを使えばよいのか迷った経験はありませんか。

この章では、宛名に使う敬称の基本ルールと、それぞれの意味を分かりやすく解説します。

「御中」と「様」の違いとは

「御中」は、会社や役所などの組織・団体に対して使う敬称です。

漢字の「中」には「中の人へ」という意味があり、そこに丁寧な「御」をつけて「御中」となります。

つまり「○○市役所 御中」と書くと、「市役所の中の担当者へ」という意味を持ちます。

一方の「様」は個人に対して使う敬称で、特定の人が宛先である場合に使うのが正解です。

敬称	使う対象	使用例
御中	会社・役所・団体など	○○市役所 御中
様	個人	○○市役所 子育て支援課 山田様

たとえば児童手当の申請書など、市役所という組織に送る場合は「御中」が正解です。

担当者の名前が分かっている場合のみ「様」を使うようにしましょう。

どんなときに「御中」を使うのが正解か

基本的には、送り先が「団体」であれば「御中」を使います。

たとえば「○○市役所」や「○○市教育委員会」「○○商工会議所」などがこれにあたります。

ただし、相手が特定の人物の場合は「御中」ではなく「様」を使うことになります。

「御中」と「様」は同時に使わないという点も大切です。

併用すると、誰に向けた書類なのか不明確になってしまいます。

まずは「組織に送る＝御中」「個人に送る＝様」と覚えておきましょう。

「課」「係」など部署名がある場合の宛名ルール

市役所に送る書類では、「○○市役所」だけでなく、特定の部署に宛てるケースが多いですよね。

この章では、部署や係まで指定して送るときの正しい宛名の付け方を紹介します。

「○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中」が正しい理由

たとえば、「○○市役所 子育て支援課 児童相談係」に書類を送る場合、どこに「御中」を付けるのが正しいでしょうか。

答えは、一番下の部署名のあとに『御中』を付けるです。

正しい例	誤りの例
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中	○○市役所　御中　子育て支援課　児童相談係

「御中」は、その組織や部署の“中の人”に宛てるという意味を持ちます。

そのため、部署がある場合は一番末尾の組織名のあとに付けるのが正解です。

これで「児童相談係の担当者へ」という意味を丁寧に伝えることができます。

「市役所　御中　課・係」はなぜ間違い？

「○○市役所 御中 子育て支援課」と書くと、一見丁寧に見えますが、実は誤りです。

これは「市役所全体」と「課・係」の両方に宛てているような形になり、相手が混乱してしまいます。

封筒の宛名はできるだけシンプルにするのがマナーです。

正しい宛名	意味
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中	児童相談係に宛てた封書
○○市役所　御中	市役所全体に宛てた封書

「御中」は1か所だけというルールを守ると、宛名の混乱を防ぐことができます。

担当者がいる場合は「様」を使う

市役所から「この書類は担当の○○さんに送ってください」と言われることがあります。

このように特定の担当者が決まっている場合には、「御中」ではなく「様」を使うのがマナーです。

担当者名が分かるときの書き方

担当者の名前が明確に分かっている場合は、以下のように書きます。

正しい例	誤りの例
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　山田様	○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中　山田様

「御中」と「様」は併用しないというのが基本ルールです。

これは、団体（御中）と個人（様）を同時に宛ててしまう形になるため、失礼にあたるとされています。

封筒の中身が書類などの公的文書であっても、この点は変わりません。

もし相手の肩書がある場合は、「○○課 山田様」と書くのが最も丁寧です。

名前が分からない場合の「ご担当者様」の使い方

相手の名前が分からないけれど、部署の中の担当者に宛てたいときもありますよね。

その場合は、「ご担当者様」と書いて問題ありません。

正しい例	補足
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　ご担当者様	名前が分からないときの一般的な書き方

ただし、少しでも宛名を特定できるなら、「児童相談係　御中」の方が無難です。

つまり、個人に送るときは「様」、部署に送るときは「御中」と覚えておくと間違いません。

「御中」と「様」は併用できる？正しい使い分け方

ここでは、特に間違いやすい「御中」と「様」の併用パターンについて整理しておきましょう。

封筒の宛名では、敬称が重なると不自然になるため、使い分けがとても重要です。

間違いやすい併記例とその修正方法

まずは、誤りやすいパターンを見てみましょう。

誤った書き方	正しい書き方
○○市役所　御中　子育て支援課　児童相談係	○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中　山田様	○○市役所　子育て支援課　児童相談係　山田様

このように、「御中」と「様」が同時に出てくると、どちらを優先すべきか分からなくなってしまいます。

宛先が明確な場合は「様」、部署や課に送る場合は「御中」、というように使い分けを徹底しましょう。

敬称は必ず1つに絞るというのがビジネスマナーの基本です。

「殿」との使い分けポイント

公的文書や行政のやり取りでは、「殿（との）」という表現を見かけることもあります。

「殿」は本来、役所などが市民に向けて使う敬称で、目上・目下の関係を示すため、個人が行政に宛てて使うのは不自然です。

使う立場	使われる敬称	例
市民 → 市役所	様 または 御中	○○市役所 御中
市役所 → 市民	殿	○○ 太郎 殿

つまり、私たちが市役所に書類を送るときに「殿」を使うのは誤りです。

相手が役所なら「御中」または「様」を使うと覚えておきましょう。

返信用封筒に「行」や「宛」が印刷されている場合の書き方

市役所から届く申請書などには、返信用封筒が同封されていることがあります。

その封筒には、あらかじめ宛名が印刷されており、末尾に「行」または「宛」と書かれているのを見たことがあるでしょう。

ここでは、その場合の正しい修正方法を解説します。

縦書き封筒での正しい修正方法

縦書き封筒に「○○市役所　子育て支援課 行」と印刷されている場合は、まず「行」を縦の二重線で消します。

その上、または左横のスペースに「御中」または「様」と手書きで書き加えます。

印刷されている宛名	修正後の宛名
○○市役所　子育て支援課 行	○○市役所　子育て支援課 御中
○○市役所　子育て支援課 山田宛	○○市役所　子育て支援課 山田様

これは、送り主（市役所側）が自分を「様」付けするのはおかしいため、返信時に差し替える必要があるというマナーです。

「行」や「宛」をそのままにして出すのは失礼と覚えておきましょう。

横書き封筒での正しい修正方法

横書き封筒でも考え方は同じです。

「行」や「宛」を横の二重線で消して、その右側に「御中」または「様」を書きます。

位置関係としては、修正文字を宛名の続きに自然に並べるイメージです。

印刷されている宛名	修正後の宛名
○○市役所 子育て支援課 行	○○市役所 子育て支援課 御中

また、ペンは黒か濃い青を使うと丁寧な印象になります。

修正時に修正液やシールで隠す必要はなく、きれいな二重線と上書きで十分です。

封筒の書き方・配置の基本マナー

ここでは、市役所宛てに書類を送る際に知っておきたい、封筒全体のレイアウトとマナーを解説します。

どんなに宛名の敬称が正しくても、配置が乱れていると印象が悪くなってしまうことがあります。

宛名・差出人の位置とバランス

封筒の表面は、中央に宛名、左下に差出人の情報を記載するのが基本です。

項目	配置位置	ポイント
宛名	封筒の中央やや右寄り	文字を大きめに書き、「御中」や「様」は最後に整えて配置
差出人	左下（裏面に書いても可）	郵便番号・住所・名前の順で記載
郵便番号枠	右上	枠に丁寧に記入

また、封筒の上下の余白をバランスよくとると、全体がすっきり見えます。

宛名を一番目立たせるのがポイントです。

縦書き・横書きそれぞれの注意点

封筒は縦書き・横書きどちらでも問題ありませんが、文書の形式に合わせるのが理想です。

公的機関へ送る場合は、縦書きがよりフォーマルな印象になります。

書き方	特徴	おすすめシーン
縦書き	格式があり、伝統的	市役所などの公的手続き
横書き	ビジネス寄りで見やすい	企業・学校などへの提出

縦書きの場合は「御中」や「様」を宛名の下に小さく書くと美しく見えます。

横書きでは宛名の右端を揃えるように書くと、読みやすく整った印象になります。

細かい部分ですが、こうした配置の工夫が、全体の印象をぐっと引き締めてくれます。

市役所宛ての封筒宛名の正しい書き方まとめ

ここまで、市役所へ書類を送る際の宛名マナーについて詳しく見てきました。

最後に、全体のポイントを整理しておきましょう。

よくある間違い例

まずは、誤った書き方のパターンをおさらいします。

誤った書き方	なぜ間違いなのか
○○市役所　御中　子育て支援課　児童相談係	「御中」は末尾の部署名につける必要があるため
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中　山田様	「御中」と「様」を同時に使っており、敬称が重複
○○市役所　子育て支援課　児童相談係　ご担当者　御中	「ご担当者」も人を指すため、「御中」は不適切

このように、間違った使い方をしても届かないことはありませんが、印象のよい書き方とは言えません。

大人のマナーとして正しい敬称を使う意識を持つことが大切です。

これだけ覚えれば安心！宛名マナーの基本

どんな場面でも迷わないよう、最後に正しい書き方の基本を一覧でまとめます。

宛先の状況	使う敬称	書き方の例
市役所などの組織全体に送る場合	御中	○○市役所　御中
部署や係などがある場合	御中	○○市役所　子育て支援課　児童相談係　御中
担当者が特定できる場合	様	○○市役所　子育て支援課　児童相談係　山田様
担当者名が分からない場合	ご担当者様	○○市役所　子育て支援課　児童相談係　ご担当者様
返信用封筒に「行」や「宛」が印刷されている場合	「行」「宛」を二重線で消して書き換え	○○市役所　子育て支援課　御中

また、封筒のレイアウトを整えることで、相手により丁寧な印象を与えられます。

宛名の中央揃え・敬称の統一・文字のバランス、この3点を意識するだけで印象がぐっと変わります。

正しい宛名は信頼の第一歩です。

たとえ小さな書類の郵送でも、相手への敬意を込めた宛名を書けると素敵ですね。